may the VBA be with you

Excel VBAとか業務自動化とか

思いつき連載 VBA王子 ニューヨークへ行く #11

前回

vba-belle-equipe.hatenablog.com

登場人物

赤羽健太

主人公

王子友哉

赤羽の同期。営業のエース候補。

川口瑞穂

赤羽の同期。広報課。

浮間船子

赤羽の先輩。

  • 甘いものが好き
  • 辛いものも好き
  • 食べ物は大体好き
北浦和

おかっぱ頭。

#11

「え? VBAの勉強? そりゃ、しなさいよ。しないとできないんでしょ? じゃ、しなさいよ。え? 通常業務は、やりながらに決まってるでしょ。え? 時間? 時間は作るんだよ。残業? 残業はつけちゃダメだよ。自主的に残るのは構わないけどさ。え? どういう意味かって? そりゃ、そういう意味だよ」
 係長への相談終了後、赤羽は自席に戻って息をついた。飽きることもなく右手の爪を見ていた浮間が、すっと寄ってくる。
「いやあ、感心感心。赤羽君は、サービスいいね」
「しませんよ。サービス残業なんて」
「だよね。私も絶対やんない」
 あなたは普通の残業もしないんです、と言うかわりに赤羽はうなずいた。
「でも、あんなにすぐになおせたんだから、キミにとってはお茶の子さいさいでしょ」
 北浦から受け取ったファイルは赤羽が試し、浮間の手に渡っていた。うまく動いたようだ。
 ということは北浦の言う通り、浮間がどこかいじった結果、うまく動かなくなっていただけ、ということだろう。
「さっきも言いましたけど、あれは、北浦さんがなおしてくれたんです。自分はまだ『こんにちは』って表示させることしか・・・」
「北浦って誰だっけ? ああ、あのおかっぱか」
「はい」
「てゆうか、お茶の子ってなんだろね」
「・・・なんでしょうね」
 
 お茶の子について考えながら赤羽が地下に下りると、資料管理室は低いうなり声を発していた。
「・・・失礼します」
 ドアを開けると、北浦はおかっぱ頭をきれいになびかせながら、陰気な目を向けてくる。赤羽は異常に気づかないふりをすることにした。
「浮間さんの件、大丈夫でした」
「・・・まあ、そうだろうな、あの女の場合。てゆうかこっちは大丈夫じゃなかったよ」
「何かありましたか」
「何かありましたよ。言ったよな? 蕨だけは来させるなって」
 ああ、と赤羽は言った。
 でも自分のせいじゃないんです。川口さんと話していたら蕨係長に聞かれていて、じゃあ私が行くってことになったので、それを止めるのは無理です。
 とは言わず、胸の中に留めておいた。
「ああ、じゃないんだよ。おかげでこっちは滅茶苦茶仕事増えたんだぞ」
「大変ですね」
 北浦は舌打ちした。
「大変ですね、じゃないよ。お前にもやってもらうぞ」
「え、無理ですよ」
「当たり前だ。だから、早く使い物になれ」
「ええと、なりたいのは・・・」
「やまやまです」
「え?」
「なりたいのはやまやまです、で終わりだ。『が』とか、いらん」
 やまやまってなんだろう。
 自分はやまやまになりたかったのだろうか。
 赤羽は自分の胸に聞いてみようとしたが、すぐに意識を戻される。
「それから?」
「え?」
「お前んとこの係長に相談するって言ってただろ。1日あたり24時間までならVBAの勉強をしてていいって承認してもらったか?」
 いえ、と赤羽はやりとりを説明した。
 ふん、と北浦は鼻を鳴らした。
「まあ、どうせそんなとこだろう。通常業務は一切変わらないということなら、話は簡単だ」
「簡単ですか」
「通常業務を一瞬で終わらせろ。そうしたら、空いた時間にVBAの訓練ができる」
「そんな」
「無茶なってか? お前は何を見てたんだ。別のExcelファイルにシートをコピーして名前を変えるまで、一瞬で終わっただろ?」
「あ、そうですね」
「お前の業務で、マクロ化できる部分があれば、それだけ時間を短縮できるってことだ。だからとりあえず、洗い出しをするぞ」
「え、ひょっとして、マクロを作っていただけるんですか?」
「これは貸しだ」北浦は薄く笑った。「そのうち返してもらう」
「・・・なるほど」
 そのうちが来る前になんとかしよう、と赤羽は心に決めた。



- つづく -


Excelでドット絵作成ツールを作る その9

はじめに

前回、

vba-belle-equipe.hatenablog.com

色の置換ができるようになりました。

現状報告

f:id:vba-belle-equipe:20160520180505g:plain

こんな感じです。

やり直し、元に戻すのボタンの押せない感を出してみました。
(実際には押せないわけではなくてマクロの中で判断して、何もしないで終わる)

コード

現時点でのコードは

'///標準モジュール///    <<変更履歴>>

'元に戻す
Sub doUndo()
  Call setSettings    '設定を共通変数にセット
  If CurHistory <= 0 Then
    Exit Sub
  End If
  CurHistory = CurHistory - 1
  Call setCurHistory
  Call copyFromHistory
  Call changeBtnClr
End Sub

'やり直し
Sub doRedo()
  Call setSettings    '設定を共通変数にセット
  If CurHistory >= CntHistory Then
    Exit Sub
  End If
  CurHistory = CurHistory + 1
  Call setCurHistory
  Call copyFromHistory
  Call changeBtnClr
End Sub

'ボタン色変更
Sub changeBtnClr()
  Dim btn1 As Shape, btn2 As Shape
  Set btn1 = Sheets("ドット絵作成").Shapes("btn_undo")
  Set btn2 = Sheets("ドット絵作成").Shapes("btn_redo")
  Call setSettings
  If CurHistory = 0 Then
    Call enableBtn(btn1, False)
  Else
    Call enableBtn(btn1, True)
  End If
  If CurHistory = CntHistory Then
    Call enableBtn(btn2, False)
  Else
    Call enableBtn(btn2, True)
  End If
End Sub

'ボタンの有効、無効切り替え
Sub enableBtn(btn As Shape, flg As Boolean)
  Select Case flg
    Case False   '押せないように見せる
      With btn
        .Fill.ForeColor.RGB = 10921638
        .Line.ForeColor.RGB = 8355711
        .TextFrame2.TextRange.Characters(1, 1). _
            Font.Fill.ForeColor.RGB = 14277081
      End With
      
    Case True    '押せるように見せる
      With btn
        .Fill.ForeColor.RGB = 13998939
        .Line.ForeColor.RGB = 10252609
        .TextFrame2.TextRange.Characters(1, 1). _
            Font.Fill.ForeColor.RGB = 16777215
      End With
  End Select
  
End Sub

こんな感じです。*1

色の指定

線や塗りつぶしのForeColor.RGBは、

f:id:vba-belle-equipe:20160520181237p:plain

「図形の書式設定」から設定した後、Debug.print で対象の色のRGBを出しました。

今後

現状ではやり直し、元に戻すが終わったタイミングでボタン色の判定をしています。
が、使ってみて、判定箇所の追加や変更があるかもという気がします。


あと載せたい機能としては「新しいブックに描画部分だけコピーして保存」くらいを考えています。

*1:変更のあったところだけです

Excelでドット絵作成ツールを作る その8

はじめに

前回、

vba-belle-equipe.hatenablog.com

複数の履歴を残すようにしました。

現状報告

f:id:vba-belle-equipe:20160518160233g:plain

こんな感じです。


置換機能を実装しました。

それと、前回

重なってしまうことや、行が足りなくなることはそうそうないかな

とか言ってたんですが、普通に行数に制限があるしあんまり貯めても重くなるので、いくつ残すのか制限を設けるようにしました。


コード

現時点でのコードは

'///標準モジュール///    <<描画>>

'置換
Sub replaceColor()
  Dim r As Range
  Dim minCol As Long, maxCol As Long
  Dim minRow As Long, maxRow As Long
  Dim clr1 As Long  '描画色
  Dim clr2 As Long  '選択色
  Dim cmvRng As Range   'キャンバスの範囲
  Dim drwRng As Range   '置換対象範囲
  
  Call setSettings    '共通変数のセット
  Application.EnableEvents = False
  Application.ScreenUpdating = False
  clr1 = Range(DrawColorAddress).Interior.Color
  clr2 = Range(SelectColorAddress).Interior.Color
  minCol = BaseRng.Column + 1
  maxCol = BaseRng.Column + Yoko
  minRow = BaseRng.Row + 1
  maxRow = BaseRng.Row + Tate
  Set cmvRng = Sheets("ドット絵作成").Range _
      (Cells(minRow, minCol), Cells(maxRow, maxCol))
  For Each r In cmvRng
    If r.Interior.Color = clr1 Then
      If drwRng Is Nothing Then
        Set drwRng = r
      Else
        Set drwRng = Union(drwRng, r)
      End If
    End If
  Next
  
  '対象セルを置換する
  If drwRng Is Nothing Then
  
  Else
    drwRng.Interior.Color = clr2
    Call saveHistory   '履歴残す
  End If
  Application.ScreenUpdating = True
  Application.EnableEvents = True
End Sub



'///標準モジュール///    <<変更履歴>>

Option Explicit

Public Const TateHaba As Long = 10000   '1履歴に使う縦のセル数
Public Const MaxHistory As Long = 30    '履歴に残す数

'履歴保存
Sub saveHistory()
  Dim rg As Range
  Dim gyo As Long
  Dim cpRng As Range
  Application.ScreenUpdating = False
  If CurHistory >= MaxHistory Then
    Sheets("変更履歴").Rows("1:" & TateHaba).Delete
  Else
    CurHistory = CurHistory + 1
    CntHistory = CurHistory
  End If
  Call setCurHistory
  Set rg = Range(BaseRng.Offset(1, 1), Cells(BaseRng.Row + Tate, _
                          BaseRng.Column + Yoko))
  gyo = CurHistory * TateHaba + 1
  With Sheets("変更履歴")
    rg.Copy Destination:=.Cells(gyo, 1)   'コピー
    .Range(.Cells(gyo + Tate, 1), _
        .Cells(Rows.Count, Columns.Count)).Clear  'クリア
  End With
  Application.ScreenUpdating = True
End Sub

こんな感じです。*1

完成が見えてきた、ような気がしないでもないです。

*1:変更のあったところだけです

人工知能は天使か悪魔か

www.nhk.or.jp

羽生さんの番組、面白かったです。


なんとなく知ってはいましたが、自動運転、小説や絵画の創作、病気の発見など、色々なことができるようになっているみたいですね。

  • ゲームに勝つための最善の手を見つける
  • 病気の兆候を発見する
  • 事故らないように運転する

という、「いいこと」というか、ゴールがわかりやすいものに関してはどんどん活用されるべきだろうと思います。



ただ、「タワーを崩すという命令に背く(友人がせっかく積み上げたから)」という部分に関しては危うさを感じました。

その判断をどうやってさせるのか? ということなんですよね。

何がよくて何がよくないのか、という「判断」の部分を人工知能に任せてよいのかどうか。

例えば

ゲームには負けたけどみんな笑ってるからいいか

みたいなシーンがありましたが、

世間的にはあんまりよくないことでも、近くの人が喜んでくれるからOK

みたいなことにつながるんじゃないでしょうか。



まあ、そんなことを言いつつ、実際には
「俺の仕事をコンピュータなんかにやらせてたまるか!」
とか
人工知能は自我に目覚めて人間に危害を加えるから危険だ!」
みたいなことで、役に立つ分野でも導入が阻害されることのほうが現実的には心配です。

うまいこと、便利な世の中になっていけばいいなと。



あと、羽生さんが花札強いのと英語しゃべれるのがすごいなと思いました。